【▼紀子編】
紀ちゃんは、ジョーに聞いた。
「矢吹くんは・・・さみしくないの?」
「同じ年ごろの青年が海に山に恋人とつれだって青春を謳歌しているというのに」
「矢吹くんときたらくる日もくる日も汗とワセリンと松ヤニのにおいがただよううすぐらいジムにとじこもってなわとびをしたり柔軟体操をしたりシャドー・ボクシングをしたりサンドバッグをたたいたり」
「たまに明るいところへ出るかと思えばそこはまぶしいほどの証明にてらされたリングという檻の中 ―― たばこのけむりがたちこめた試合場でよっぱらったお客にヤジられざぶとんを投げつけられながら闘鶏や闘犬みたいに血だらけになってなぐりあうだけの生活・・・」
「しかもからだはまだどんどん大きくのびようとしているのに体重をおさえるために食べたいものも食べずのみたいものものまず」
「みじめだわ 悲惨だわ」
「青春と呼ぶにはあまりにもくらすぎるわ!」
紀ちゃんは、「自分から見たボクシング」をジョーに伝えた。
・
・
・
紀ちゃん…林紀子。
この女性は「あしたのジョー」の主人公である矢吹丈に惚れている少女。
だが、紀ちゃんの想いは全くジョーには伝わらなかった。
それどころか紀ちゃんの目の前にいるジョーはどんどん遠くへ行く。
だが、それはジョーの世界であり、ジョーの人生。
紀ちゃんがどんなにジョーを想おうと、残念ながら男女として交わる事はなかった。
そう、縁がなかったのだ。
それでもジョーが好きだった紀ちゃん。
だが、ジョーの居る「ボクシングの世界」にどうしても居られない紀ちゃん。
ならば、自分がジョーの世界でなくジョーに自分の世界に来てもらえれば。
そう思い、紀ちゃんはジョーに想いをぶつけた。(というのが私の解釈)
だが、ジョーの返事は…
「おれ 負い目や義理だけで拳闘やってるわけじゃないぜ」
「拳闘がすきだからやってきたんだ」
紀ちゃんの想いはジョーには届かなかった。
ジョーは紀ちゃんの気持ちに気付いているのか、全く気付かなかったのか。
どちらにせよ、ジョーは目の前の女性より今もこれからも「ボクシング」だと言う。
自分の想いは全く伝わらず、ボクシングの話をするジョーに紀ちゃんは言う。
「矢吹くんのいってること・・・なんとなくわかるような気がするけど」
「わたし ついていけそうにない・・・」
今までどんな状況でも、どんな言葉をぶつけられてもジョーについていこうとしていた紀ちゃんであったが、紀ちゃんの中でやっと気持ちの整理ができた。
それが「ついていけそうにない・・・」だ。
ここで紀子のジョーへ対する恋は終わる。
「ついていけそうにない・・・」
そうジョーへと伝えた紀ちゃんはその場を去った。
そんな出来事から時間が経った。
紀ちゃんはジョーではない男と結婚する事となる。
その相手はジョーの親友、西だ。
西はジョーと同じくボクシングをやっていたが、ボクサーとしてはパッとしなかった。
だが、紀ちゃんの実家が営む商店「林屋」でも働く西は林屋になくてはならない存在となっていた。
林屋で働く西、そこの娘である紀ちゃん。
この二人が結婚する事に何の違和感もなかった。
その結婚式にはもちろん西の親友であるジョーも出席。
そして結婚披露宴のスピーチも二人をよく知るジョーが行う。
「おれたちふたりはずいぶんはでになぐりあったっけ」
「そのなぐりあいがこっちは商売になっちまって・・・おめえは」
「ふふふ・・・ちんまりおとなしくおさまりやがって模範青年」
「こんなかわいい嫁さんをものにして・・・」
「まあせいぜいしあわせになってくれや!」
短くそう言い、席に座るジョー。
紀ちゃんと西の結婚披露宴でスピーチをしたジョー。
それは紀ちゃんが結婚する前に想いを寄せていた異性。
そんなジョーに’’友人’’として「幸せになってくれ」と言われた紀ちゃん。
そのスピーチを聞いた紀ちゃんは…
と、いう訳で今回は紀ちゃんはどんな想いでこんな表情だったのか?というのを考えていく回にしたいと思います。
☆紀子…その想いは…
アニメ版「あしたのジョー2」でもこのシーンは登場する。
とても印象的なシーンである。なんなら原作のクオリティを越えてくるかのような視線である。
それもそのはず。私たちはあしたのジョーファンは紀ちゃんが冷静に考えるとどれだけジョーにヒドイ仕打ちをされたのかを初登場からこの表情まで見ている訳なのだから。
【▼ヒドイ仕打ち】
高校生だった紀ちゃんは青春と言える時間を使い長い時間ジョーを見て来たのだ。乙女の青春という貴重な時間。
だが、その想いは全く届かなかった。
そんな相手にとか30秒くらいで終わるスピーチをされたのだ。
私も結婚式には何度もご祝儀出す側で参加してる訳だが友人代表のスピーチを聞いて
「・・・」な、リアクションの人は見た事がない。
そしてこのシーンはやはりあしたのジョーファンでもとても印象に残るシーン。
それはこの表情の「答え」がないからだ。
このシーン以降「あしたのジョー」は世界チャンピオンのホセと戦うジョーに視点が当たり、紀ちゃんがその後ジョーをどう思っているか?などの描写は皆無。
だからこそファンの中ではこの表情だけで色々な憶測が飛ぶ。
結婚式の時、紀ちゃんはジョーをどう思っているのか。
自分の世界をボクシングで否定したジョーへ当てつけに好きでもない西と結婚した?
あれ以降好意を寄せていたジョーへの感情はクルリと敵対へと変わった?
まだジョーが好きな気持ちを持ちつつも西と結婚した?
やり直さず一発でときメモの藤崎詩織を落とせるであろう恋愛マスターな方ならば他にも色々とあの表情を見てこう思っているハズと浮かぶ事であろう。
だが、答えはない。
と、思ってたんですけどとんでもないヒントを入手した。
ライン。
そう、スマホをお持ちの皆様ならば嫌でも知ってるライン。
「番号教えて」→「メアド交換しよ」→「ライン教えてよ」のライン。
時代はラインだ。なきゃダメだ。なきゃナンパもできんしキャバクラも行けん。
あと注意しないと交換してから自分のアイコンで微妙に本性がバレるのがラインだ。
アイコンが猫なら猫が好きだし、バイクならバイクが好きだし、車なら車が好き。
自分の子供なら自分の子供が大好きだしアニメ美少女キャラのアイコンなら高確率でキモオタだ。(偏見)
ついでに僕はキモオタの部類だろう。(事実)
そしてそんなラインはとても便利なアプリなので連絡手段としては定番所か重宝。
過去の会話に重ねてメッセージを交換するだけの単純なアプリだが、そんなメッセージ交換を熱く盛り上げてくれる機能が…!
スタンプ機能!
「OK」だの「ありがとう」だのをイラストで簡単に返事できちゃう便利機能、スタンプ。これがもう…イイよね!
どんどん新しいスタンプが生み出されるライン。
ジブリやディズニーはもちろんドラゴンボールやワンピースなどみんなが大好きなアニメや漫画も作中印象に残るようなメッセージを添えてスタンプ機能で登場!
たまにどのタイミングで使うのコレ?みたいなのもあるけどそれがまた…イイ!
当然あしたのジョーも。
そう、国民的アニメは何もドラえもんやサザエさんだけじゃない。
あしたのジョーもだ。
当然、名シーンをぶち込みまくってラインスタンプとなる!やったぜ!!
ほら!名シーンだらけ!
どこで使うのコレ。
結婚式で「まあせいぜい幸せになってくれや」とか言われた後か?
とにかく選別されたシーンでライバルのカーロス・リベラがラインスタンプになれなかったというのに紀ちゃんのジョーへのメンチ切りは採用されるラインナップ。
だが、「どこで使うのコレ」となったスタンプも無駄にはならない。
国民的連絡手段重宝アプリの「ライン」はシンプルな用途+盛り上がる機能をつけただけでは終わらない。更に使いやすさを求めアップデートに次ぐアップデート。
その結果…
文字を入力するとそれに対応したラインスタンプが表示されるのだ!!
「うれしい」と入力するとブイサインのミスマル・ユリカやこれからパロ・スペシャルをかける時に見せる顔のウォーズマン等が現れる。
す、すげえ…すげえぜ!ライン!!
適当に「やったぜ」とか入力してもちゃんと出てくるから凄いぜライン!
「よっしゃー!!」と喜ぶ城之内と前田慶次。
とにかく喜びの文で現れるウォーズマンなどこれはとにかく便利!
と、いう事はだ。
これがどんな入力で出てくるかで紀ちゃんの心情が理解できるのではないだろうか。
そう思い、私はラインで文字を入力した。
すると…
で…でた…!
その文字とは…!
問:紀ちゃんはどんな想いでこんな表情だったのか?
答:えへへ。
と…と…と…、いう事は…(((( ;゚Д゚)))
・
・
・
「まあせいぜいしあわせになってくれや!」
短くそう言い、席に座るジョー。
紀ちゃんと西の結婚披露宴でスピーチをしたジョー。
それは紀ちゃんが結婚する前に想いを寄せていた異性。
そんなジョーに’’友人’’として「幸せになってくれ」と言われた紀ちゃん。
そのスピーチを聞いた紀ちゃんは…
な訳ねーだろ。
誰か!!漫画評論家とかアニメ関係者とかの方!
いやもう恋愛評論家や心理学者でもなんならあしたのジョーガチ勢の方…!!
私に真の答えを教えて!!!!