【▲前回】
~主な超平和バスターズ~
【めんま】死んでしまったがじんたんにだけ見える。かわいい。
【あなる】じんたんが好きだった自分、を思い出す。
【ゆきあつ】”あの日”なぜじんたんが居たのか思い出せない。
【つるこ】名探偵。前回ほぼ出番なし。
~前回までのあらすじ~
めんまのお願いだと思われる「花火」を作るのには大金が必要だった。
じんたん達はアルバイトをし、やっと花火の作れる金額まで届いた。
だが、花火師は断る。
「悪いけど駄目になったんよ」
花火師にじんたん達の花火制作を断れと言ったのは、めんまの母だった。
☆「…どうして?」
つることあなるが秘密基地で会っていた時、こんな話をしていた。
「ゆきあつさまだここ来にくい感じ?」
来にくいやろなぁと思うも、あなるは優しかった。
「もう誰も気にしてないしさ 気持ちもわかるし」
え?女装しちゃう気持ちわかんの!?と思うもそうじゃない。
「まだ心の整理が出来てないのよ あの子人一倍めんまへの思いが強いから」
「めんまへの… …思い」
つるこから見たら「めんまへの思いが強い人」はゆきあつ。
あなるから見たらそれはじんたん。女子二人の目線は少し違かった。
あなるはふと、つるこに聞いてみた。
「ねぇ つることゆきあつってさ 付き合ってないの?」
いつも一緒に居るゆきあつとつるこ。当然の疑問。だが…
「クスッ 宿海君と何かあった?」と、名探偵ぶりを発揮。
「いや…何もないよ 何もないからなんだけどさ…」
「私たちも何もないわよ」
「ただ松雪のことが心配なだけ」
「目を離すと潰れちゃうんじゃないかって不安で ――」
ゆきあつは潰れこそしなかったがめんまへの思いが強すぎたためか、常識外れな行動に出た。
だが、それでもゆきあつが普通に過ごせていたのはつるこのおかげなのかもしれない。
「それって好きってことじゃないの?」
「そうなのかしら」
「つるこ…人のことはお見通しなのに自分のことは全然わかってない」
名探偵つるこ、「そうなのかしら?」と探偵っぽいポーズはとるも自分のこととなるとサッパリなようだ。
「でも松雪はめんまを忘れない…私が心配なのもめんまを忘れられない松雪だから ―」
「めんまを…忘れられない… ゆきあつ…」
「宿海君のことはあなたがちゃんと見ててあげてね安城さん」
「松雪はああいう形で傷を受け入れていたけど 宿海君は昔から自分の中にすべて抱え込んじゃうタイプだから…」
つるこはみんなをよく見ていた。
だから、ゆきあつは自分が、そしてじんたんはあなるに…と振り分けた。
「うん…そうだったよね・・・お母さんが病気の時でもあたしたちには笑って大丈夫大丈夫って…泣いてるとこなんて見たことないよね」
あなるもそんなじんたんが記憶に残っていた。
「まったく手のかかる隊長さんよね ちゃんと気をつけてなきゃ」
「また自分の中に閉じこもってしまわないように ――」
超平和バスターズはずっとなかよし
今、それを願っているのはめんまだけじゃない。
そう思わせる二人の会話だった。
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みんなが向かっていたのは”めんまの家”だった。
「めんまのお父さんに反対されるなんて…」
「だからこそこの時間よ!」
ぽっぽの作戦は、めんまの父親が居ない間に母の方にどうにか花火を上げさせてもらえるよう直談判する、というものだった。
「だよね!日記も貸してくれたしめんまのためならきっと ――」
あなると違って、じんたんはあまり良い予感はしなかった。
まず、また黙って自宅に行く事をよく思わないめんまの事…
前にお邪魔した時のあの顔が忘れられない。
「あら 今日は集君と知利子ちゃんも来てくれたの?うれしいわ!」
「さ・・・・上がってちょうだい」
・
・
「ロケット花火…だったかしら?」
そう言ったのはめんまの母だった。
「あ…はい えっと…その…」
「お父さんに聞いてびっくりしちゃった」
「おもしろいこと考えるのね?小さい頃と変わらない ――」
「あぁ そうなんす!ガキの頃めんまと作ろうって言ってたんすよ!」
「…そう 芽衣子が…」
「あ あの…花火上げたら…芽衣子さんも…その…喜ぶかなと思うんで…」
「なんで…おじさんに…「本当!あなた達とっても仲がいいのね!」
「芽衣子…羨ましいでしょうね…」
「仲間はずれにされちゃったわね…」
「芽衣子が喜ぶなんて言って…」
「結局…自分達が楽しんでるのよね…!」
「芽衣子をだしにして…!」
「ちがっ…!あ…あの…!」
じんたんの予感は正しかった。
ただ、前回は言葉にされなかっただけで同じ思いで自分達を見ていたのだろうとも気付いた。
「…どうして?」
「あの日だって…あなた達芽衣子と一緒に遊んでいたんでしょ!?」
「あの子の日記読んだでしょ!?止まってるのよ!時間が!!」
「あの子だけが!!昔と変わらずに…!!!」
「なのに!!」
「どうしてあなた達はこうして大きくなって!」
「どうして芽衣子だけが!」
「芽衣子…一人だけが…」
「…帰って」
「帰りなさい ――」
”めんま”に囚われているにはゆきあつやじんたんだけではない。
めんまの母もその一人。
今、じんたんにしか見えないめんまを通じて「超平和バスターズ」はまた一つとなることができた。
だが、母からしたら亡くなった娘をだしにして遊んでいるだけ、 だった。
それは侮辱であり、屈辱。
同じように娘も大きくなっているハズだったと思うと、我慢の限界だった。
めんまの弟の聡志くんが帰宅。
気まずそうに、そして逃げるように帰る姉の友人達が家から出てくる。
訳が分からないが、聡志くんはそんなじんたん達と
悲しんでいる母を見た。
・
・
・
・
めんまの家から去ったみんなは、神社に集まっていた。
「えれー怖かったな めんまのかーちゃん」
ビビるぽっぽ。本来ならダサッと言ってやりたい所だがあれはビビるよね。
「…そうね ずっと私たち憎まれてたのかしら…」
こんな時も名探偵つるこ。だがそ推理は少し悲しい答えだった。
「こんなに誰かに嫌われたのって初めてかもしれない」
しかもそれは今、中心にいる人物めんまの母。あなるもヘコむ。
すると、ゆきあつは言う。
「やめようぜ」
「いくらめんまのお願いでもそれで家族が傷ついてちゃ意味がないんじゃないのか」
花火製作を止めた父、狂ったかのように騒ぐ母。
とにかくめんまの家族は花火に反対している。
その意見につるこは…
「えぇ…花火は…諦めた方が…」
「めんまのお母さんの…あんな姿…見ちゃったら…」
娘の死を弄んでいると勘違いされてしまい、めんまの家族に憎まれても花火をあげるべきなのか。
そんな考えがみんなに過った。
じんたんを除いて。
「誤解されてるだけだろ…!俺達はめんまをだしにして楽しんでいるわけじゃない…!めんまを仲間はずれなんかにしてるわけじゃない…!!」
じんたんの思いと言葉は本気だった。
だが、それはめんまの見えるじんたんだから言える事である。
「だったらおまえが子供を亡くした親の気持ちを慰めてみせろよ」
「めんま見えるのおまえだけんだからよ」
ゆきあつの言う事もまた間違っていない。
ただ、もう簡単にどうにかできる話ではなくなっている。
「ほ…ほらじんたん お願い…花火じゃないかもしれないしさッ…」
と、喧嘩しそうな雰囲気になるじんたんとゆきあつの間に割って入る。
そしてじんたんは言う。
「バイトの時間だから…もう行くわ…」
「みんな…今まで手伝ってくれてありがとな…」
「みんなの言ってることも…めんまのかーちゃんの気持ちもわかるんだ…」
「だから…こっからは俺一人でやるから…」
「俺にしか…俺にしか見えないんだから…」
「俺がやらなきゃいけないんだ ――」
その言葉がどうしても気にいらないゆきあつ。
前につるこの言っていた「めんまへの思いが人一倍強いゆきあつ」なのだが、身長でも学業でも何でも全てじんたんより優れているはずのゆきあつだがどうしてもめんまが見えない。そこだけはじんたんに劣っていると本人は感じている。
「俺にしか…俺にしか見えないんだから…」
「俺がやらなきゃいけないんだ ――」
これは、ゆきあつにとってどう足掻いてもじんたんに勝てない。
「やめよう」と言い出したのはゆきあつ。
だが、大好きなめんまのために「やめない」と言ったのはじんたん。
ゆきあつの気持ちも、このどうしようもない現状も全て事実。
だが、じんたんは「俺がやらなきゃいけないんだ ――」と言い、バイトへ向かった。
自分は、何もできずに「やめよう」と言った。
何もできないと悔しそうにしているゆきあつを ―
つるこは心配そうに見ていた。
☆「俺にしか…俺にしか見えないんだから」
「俺にしか…俺にしか見えないんだから…」
「俺がやらなきゃいけないんだ ――」
じんたんはバイトをしながらそんな事を考えていた。
だから、なんとかしなくてはいけない。
”みんな”でなくては叶えられないお願いだ、という事を忘れていた。
「俺にしか…俺にしか見えないんだから…」
「俺がやらなきゃいけないんだ ――」
ゆきあつはじんたんが言ったその言葉がどこか引っかかっている。
自分はめんまのためにもう何もできないのだろうか。
自分はめんまのために何ができるのか。
じんたんと違い、彼はめんまが見えない。
だが、めんまに対する大きな気持ちはまだ彼の中にある。
どうしたら良いか分からないゆきあつは見つめていた。
めんまに渡すハズだった、バッチン。
ゆきあつは、決意する。
・
・
・
「またバイト増やしたの!?」
じんたんは一人でめんまのお願いである(と思われる)花火を完成させるため、労働時間を増やし、お金を稼ぐ方向へ。
そんなじんたんの疲れはあなるにも伝わってきている。
「なんか顔色悪いよ…?」
「あぁ…あんま寝てねーから」と面倒くさい自慢をする大学生みたいな発言をするじんたん。
「今まで食っちゃ寝の生活してたからな 睡眠貯金はたんまりあんだよ」と普通なら何言ってんだお前?と言いたくなるが何故だか共感できてしまうのも僕の残念な所だなと再認識させられる。
「俺には時間があるし」とめんまのために男を魅せるじんたん。
知らない間にただのクズニートは卒業していた。イイゾ、じんたん。
めんまのために頑張るじんたんを見て、あなるは思った。
「どうしてそんなに…」
「お願い叶えたら…」
「めんま ――」
そう、お願いを叶えたらめんまは居なくなってしまう。
めんまと会えなくなっても良いのだろうか。
奇跡的にもう一度会えためんまと会えなくなっても。
あなるが頑張るじんたんを見てそんな事を考えていると…
じんたん、電池切れで倒れる。
・
・
倒れたじんたんに栄養剤とお水を渡す天使なあなる。
急なアクシデントとはいえ、じんたんと控室で二人きりになったあなるは聞く。
「花火どうする気?」
そう、お金をいくら稼いだ所で今はどうしようもできないのだ。
それでも倒れてしまうくらい無理をして働くじんたん。
あなるは策もないのに働くじんたんが心配だった。
「おじさん作ってくれないでしょ」
「誰か別の人見つけて頼むさ」
「お願い花火じゃないかもしれないじゃん」
「俺は花火だと思うんだ 違ったらまた考えるだけだ」
「おまえは気にしなくてもいーよ」
「俺一人でもなんとかしてみっから」
「めんまのかーちゃんに恨まれんのも俺一人で十分だし…」
策なんてなかった。
とにかく今じんたんにできる事がお金を稼ぐこと、それだけだった。
それでも花火を上げようとするじんたん。
めんまの母に恨まれるのも自分ひとりで良い、とやはり”お願い”は”みんなじゃないとだめ”という事を忘れている。
そんな決意の固いじんたんを見てあなるは…
?
!?
こ…
これは…!?
金田一少年の事件簿で見た事がある光景。
若い男女…言い争い…密室…凶器…
カッとなってしまったあなるはじんたんを手に持っていた凶器で殴ってしまった。
「そ…そんなつもりは…!?」「い、今なら…まだ…!」と不意に殺してしまった犯人をどこかへ隠す。
そして偶然何か犯人の計算外な事が起き、ソレのおかげで事件は複雑化…!?
だが甘かった…その焦りと詰めの甘さで偶然そこにいた高校生探偵金田一一は事件を解いてしまう。
「ふ…わかったぜ…このトリック…」
「なあに?はじめちゃん?」
「みゆき…みんなを部屋に集めてくれ!」
「犯人はこの中にいる…ジッチャンの名にかけて!!」
良かったぁ。生きてて( ´ー`)
よかったよじんたん、これが「あのはな」で。金田一かコナンだったら間違いなく死んでたよアンタ。
「うっさいこのヒキコモリ!!!」
「何見栄はってかっこ付けてるのよ!!」
「俺だけが見えるとか俺だけがわかってるみたいな顔してさ…!!」
「勝手にみんなに見切りつけて…!」
「勝手に一人で背負い込まないでよ!」
「あたしも他のみんなも…!」
「めんまのために花火上げたいって思ってる…!!」
「”みんな”じゃなきゃお願い叶えられないんじゃなかったの!?」
あなるは、また一人で全部を背負い込むじんたんに我慢ができなかった。
めんまが死んで、自分の母親が死んだ時も彼は全て抱え込んだ。
そして、潰れた。
あなるはそんなじんたんをもう見たくなかった。
だから「めんまのため」とはいえまた一人で背負い込むじんたんに想いをぶつけた。
もう、前と同じようになってほしくなかった。
「もっと仲間を信じなさいよ…」
・
・
・
スーツを着るこのオジサン。
このおじさんはめんまの父。花火の製作を中止させた人。
そんなおじさんに挨拶をする。
「こんにちわ」
「また君たちか…」
オジサンの前に現れたのは…
ゆきあつとつるこだった。
「昨日も言っただろう。」
「あいつは芽衣子の母親はまだ過去に生きている」
「芽衣子がああなってしまってそれから時間が少しも動いていない」
ゆきあつとつるこを見たオジサンは花火の件での説得に来たんだろうと思い、彼らが何かを言う前に淡々と話した。
それはめんまの母が”ああなっている”からと説明。
「あいつを今に引き戻したい」
「そのためにもこれ以上思い出させたくないんだ」
その結論は母を見ためんま本人が出した結論と同じだった。
「すまないが…」
顔を見るなり丁寧に断りを入れるめんま父。
ゆきあつはまだ何も言っていない。
めんまの父の言う事を頭の良いゆきあつが理解できない訳がない。
彼もめんまの母を見て花火製作をやめようと言ったのだから。
だが、ゆきあつは改めて断られるためにここに来たのではない。
自分がめんまにできる事をしに来たのだ。
「お願いします!」
「おばさんの気持ち おこがましいんですけど…」
「…俺 わかる気がします」
「俺は…娘さんが…芽衣子さんが好きでした!」
「芽衣子さんのために何かがしたいんです!」
「”あの時”みたいに…何も出来ないのは嫌なんです…!!!」
「俺も過去に生きたままだから……!!」
「だから…!」
「今度こそ…!! 俺は…!!!」
めんまの見えないゆきあつにできる事
「誤解されているだけだ」と言ったじんたん
「見えるのおまえだけなんだから」と言った自分。
前とは全く真逆で彼にはめんまが見えないが、めんまをだしにして楽しんでいる訳ではないという事を全力でめんまの父に伝える事だった。
それが、ゆきあつがめんまのためにできる事。
つるこは、しっかりとそれを見た。
☆「頑張れば頑張るほど…めんま…」
じんたんとあなるはバイトが終わって一緒に帰っていた。
「…叩いてゴメン」
良かったよ、ほんと。この漫画が金田一じゃなくて。
「ねえ 嫌なこと聞いていい?」
「頑張れば頑張るほど…めんま…いなくなっちゃうんじゃない」
「じんたんは…それでもいいの?」
じんたんが電池切れを起こす前に思った事を聞いてみた。
じんたんの答えは…
「…でもそれがめんまの望みなんだから ―」
「だったらやるしかねぇだろ」
「俺はめんまに…ひでぇことしたんだから…」
じんたんがしたひどいこと。
「こんなブス」言い放ってしまったこと。
明日謝ればと思っていたが、その明日は来なかった。
そして、めんまにまた会えた今、まだ謝れていなかった。
「これっぽっちで償いになんてならないってわかってるけど…」
「じんたんのせいじゃないってば…!」
「あたしがあの時…あんなこと言わなけりゃ…!」
あんなこと…あなるもずっと忘れられなかった。
「めんまのこと 好きなんでしょ?」
最初にそう聞いたのは、確かにあなるだった。
俺だけじゃない…
みんなが…みんな ――
みんながみんな、めんまを忘れられない理由がある。
それは、”あの日のこと”を何一つ謝れなかったこと。
それに悩んでいたのは、じんたんだけではなかった。
「今日はなんつーか…ありがとな」
「ん 花火上げなきゃね」
二人同じ道を歩いていたが、別れる所まできた。
倒れた自分を助けてくれたこと、もっと仲間を信じる事を教えてもらったじんたんはあなるにお礼を言い、帰る。
あなるはまだ、言えてない事があった。
間ってじんたん…
ホントはね…
ホントは…
めんまのとこに…
行ってほしく
な ―――
自分の言いたい事は声になっていなかった。
だが、言わないと、じんたんはめんまの所に帰ってしまう。
言葉で伝える事のできないあなるは
と、じんたんにひっつく妄想は一瞬でできたものの実際は用もないのに「じんたん」と呼ぶことが限界なあなるだった。
ウーン…やはり彼女にメインヒロインになれない所…(`・ω・´)
「ちゃんと暖かくして寝なよ!」と孫と通話を終える前の婆ちゃんみたいな発言でこの場をやり過ごそうとしてる感じがこれまた。
結局何も言えず、何もできなかったあなる。
だが、彼女はこれで分かった事があった。
”あの時” ホントは私ほっとしちゃったんだ
めんまのこと じんたん好きじゃないって言った
私 最低だけどちょっとうれしかったんだ
でも ―――
でもあんな風に行っちゃったら
めんまが大好きだって
言ってるようなもんじゃない
あれからずっと痛い
あの瞬間
嬉しくなっちゃった自分が許せなくて
めんまを傷つけて
あんなことになっちゃって
じんたんを…
じんたんを好きだった自分が許せなくて ―――
…わかってる
いつだってそう ――
じんたんが一番輝く瞬間 ――
私が好きなのは
めんまのために頑張るじんたんだから ――――
・
・
・
「本当ですか!?」
じんたんは驚いていた。
だが、後ろにいるつることぽっぽは笑っている。
「あぁ作ってやるよ」
「火薬を扱わせるわきゃいかねぇけど簡単なとこ手伝ってみっか?」
一度断った花火師のオジサンが、花火を作っても良いと言ってくれた。
「やったなじんたん!」「よろしくお願いします!」
つるこは知っていた。
「あのゆきあつが…」
つるこは、めんまの父を説得したゆきあつの事をじんたんに話した。
「彼も必死っていうことよね」
「色々思うところはあるのだと思うけど…」
つることじんたんが話していると…
「おーいじんたん!」
「こっからの予定話すから来てくれ!」とぽっぽ。
これで”めんまのお願い”にまた一歩近づけた。
それも「みんな」の力で。
あなると同じく、つるこも思う事があった。
「花火ができあがることは めんまがいなくなること ―」
「これは私たちの償い それはわかっている」
「でも…それですべてが許されるのかしら…」
「宿海君 ―――」
・
・
・
花火づくりは順調だった。
じんたんに竹を斬りつつ攻撃するモブ。
花火についておじさんから詳しく話を聞くゆきあつ
縫物担当の女子
”みんな”で作るめんまのための打ち上げ花火。
そしてその作業を…
「すごーっす!すごーっす!」と楽しそうに見てるめんま。
だが、残念ながら後頭部での登場。うーん、ゴメンま。
「なんか…ほんの少し…」
「ほんの少しだけど…あの頃に戻ったみたい…」
めんまが居る事も感じられるので超平和バスターズの頃を思い出すあなる。
だが、心の中では…
「でも…この時間は…めんまとお別れするための時間で ―」
そう思うあなる、目線の先には…
じんたん。
「じんたん…あの時…またホントの事言わなかったでしょ ――」
昨日の帰り道での話を思い出した。
じんたんはあなるの質問に対して「ホントの事」を言わなかった。
あなるはそう思った。
では、そのじんたんの本心は一体何なのか。
それは…
わからない。
「ここだな!」
花火の作成は順調。
打ち上げ予定日の「9日」に〇をつける。
「おっしゃ燃えてきたぜ!」「あぁ」
秘密基地にあるカレンダーを見て、じんたんとぽっぽは燃える。
「この日が ―――」
じんたんは、あなるに言われた事を思い出した。
「頑張れば頑張るほど…めんまいなくなっちゃうんじゃない」
「じんたんは…それでいいの?」
「お願いを叶えてみんなとお別れする ――」
「それを望んでいるんだから ――」
ホントの事を言わなかったと思ったあなるの考えは当たっていた。
じんたんは打ち上げ予定日が近づくたびあなるの言った事を思い出していた。
だが、”みんな”で”お願い”を叶えようという事になり終わりが近づいてきている。
自分の意思だけで、それを先延ばしにする事もやめる事もできないのだ。
「あのー」
・
・
バイト中は集中しろクズ。
「あっ…いらっしゃいま…!?」
「あ…」
・
・
・
「なんか…すんませんでした…」
バイト中のじんたんと偶然会ったのはめんまの弟の「さーくん」
偶然会った二人だが、二人ともこの前の事を気にかけていた。
さーくんとじんたんは、二人、公園で話していた。
「そんな 悪いのは突然押しかけたこっちの方で…」
「うちの親異常なんすよ…あのおばさんほとんど家でないし…」
「えっ…」
「なんか人に会いたくないみたいで」
「そりゃ姉ちゃんがいなくなったのは辛いと思うけど」
「でも気持ち悪いっていうか なんかああいうのが母親って恥ずかしいっていうか」
めんまが死んでしまった後、影響があったのは超平和バスターズだけではなかった。
めんまの母にも大きな影響があり、そして家族にも影響があった。
弟のさーくんは、母のめんまへの気持ちを理解できない訳ではないが、その異常なまでのこだわりがどうも気にいらなかった。
「でも…一番キツイと思う 親って多分…なんつうか…」
親を亡くしているじんたんは、少し気持ちがわかる気がした。
彼もめんまと母親の死から、自分の中に閉じこもってしまった人間だから。
「まだ一人残ってるのにな 子供」
死んでしまっためんまを忘れないように毎日生きる母。
だが、まだ生きている弟は自分が母親に忘れられたかのように感じていた。
弟のさーくんもめんまを忘れない。
「姉ちゃんにいつも言われてた事があります」
「あのねお姉ちゃんは超平和バスターズなの!みんなの平和を守ってるんだよ」
「だからねサー君はおうちを守るの わかった?」
めんまが弟にしたお願いは”おうちを守る”こと。
弟のさーくんはその事をよく憶えていた。
だが…
「おうちを守れって言われても…」
「あんなしみったれた家…」
その願いは今のさーくんにはもうどうでも良い事になっていた。
それを聞いたじんたんは…
さーくんに、何かを伝えた。
☆「”あの日” もう一度やるとか」
「めんまの花火を明後日に控えての大宴会だ」
ぽっぽは張り切っていた。
それは花火打ち上げ予定日の前日にめんまのお別れ会を開くからだ。
じんたんとめんまとぽっぽの三人は秘密基地で飾り付けを作る。
「おお!うまいじゃんめんま!」とティッシュで花を作るめんまを褒める。
きっと、ぽっぽから見たらティッシュが浮いてるように見えるだけなんだろうが、花火の時以来、めんまの存在を感じ取るぽっぽからしたらめんまと何かをしているようで楽しいに違いない。
「お前が主役なのになに自分で作業してんだよ」とじんたんが言うも…
そう、楽しいのはぽっぽだけでなく、めんまも同じ。
・
・
・
飾り付けは終了した。
「じんたん めんまは?」
「寝てる」
「自分も手伝うってはしゃいでたのに」
めんまが寝ている事を確認し、じんたんはぽっぽに言う。
「あのさ…ぽっぽ…」
「なんつーか その ありがとな…ホント…」
じんたんは、ぽっぽにお礼を言った。
「俺一人じゃここまでできなかったよ…」
「ここまでこれたのも…はじめにお前がめんまのこと信じてくれたおかげだ」
めんまとの再会も終わりが見えて来た。
めんまと出会った初日、めんまがいなくなり「もしかして」と思い秘密基地に立ち寄った所再会したのがぽっぽ。
そして、「めんまが見える」「お願いをみんなで叶えてほしい」という話を何も疑わずに信じ、一緒に行動してくれた。
そのおかげで”みんな”で”お願い”を叶える日を迎える事ができる。
じんたんは、ぽっぽにお礼を言うが…
「じんたんのためだけってわけでもねーよ」
「いや…うん…これは俺自身のためなんだ…」
意外な答えだった。
そしてぽっぽは続ける。
「俺 見ちまったんだよ ”あの時”めんまがいっちまうのを…」
「俺…本当は…もうここにはいたくなかったんだ…」
「めんまが消えた…この場所…に」
「逃げたかった…あの日から…」
「高校も行かずにバイトして…あちこちに…世界に」
「遠く行きゃ変われるって思ったんだよ…」
「いっちまうめんま助けらんなくて…」
「怖くて体動かなくて…」
「真っ白になっちまってただ見送ることしかできなくて…」
「そんな なにもできなかった情けない自分を消せるって…!」
「あの日のこと忘れられるって…!」
「でもダメだったんだよ…!」
「どうしても戻ってきちまうんだよ ―――」
「目の前でどんどんいっちまう 遠くにいっちまうめんまが ―――」
「離れないんだよ…ッ!」
「だから…じんたんがめんま見えるって言ったとき…」
「俺がやれることがあるなら…全部やろうって思ったんだ…!」
「こんなんで許してもらえるかわかんねぇけど…」
「やれることは…!全部……!!」
「今度こそ…!」
「今度こそ…!」
「今度こそ…!」
バーベキューをしていた時、ゆきあつが言った「めんまが見える」
その言葉を聞いてぽっぽは必死に探した。
それには「もう一度会いたいめんま」と「あの時の自分の後悔」があった。
見ているだけで何もできなかった自分への後悔。
そして、それを「許してもらいたい」という願いを込めて今日まで頑張ってきた。
ぽっぽのその願いは…
ちゃんとめんまに届いていた。
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次の日。
めんまのお別れ会当日。
秘密基地には…
ぽっぽとあなるとゆきあつが居なかった。
「どこまで買い出しに行ってんだ?」とじんたん。
買い出しに行ったっきり、3人が帰って来ないようだ。
つるこにはめんまが見えないので、実質二人。
きっとゆきあつスキーなつるこはじんたんと二人きりとか地獄。
つるこスキーな僕がじんたんなら天国だが、多分つるこはどちらでも地獄。
待ちきれないじんたんは、3人を探しに行く。
「めんまは…そこにいるの…?」と1人きりになったのか2人きりになったのかよくわからなくなったつるこは見えないめんまに問いかけてみた。
そしてどうでもいいけどこの日のつるこはやけに可愛い。
「いるよー」
ごめんつるこ…、めんまの方が可愛かった。
が、返事をするもつるこには伝わらない事に気が付いためんま。
発見!カキカキ…
自身の日記帳に文字を書くという策でお返事。
もっと早くからソレやれよ。と思ったが記憶が正しければアニメ版では無限大の花火やる辺りでやってたよーな…?
今更ではあるが、めんまとのコミュニケーション方法に気付かされるつるこ。
文字が書けて「すごいわめんま」と君ら同い年ですよね?と思わされる褒めっぷりや、お前も「こんにちわ」でドヤ顔すんなよめんま。と思ったが、人生は灯台下暗しなのだ。良しとしましょう。
「あのねめんま」
「私 あなたに謝らなきゃいけない事があるの…」
ぽっぽやあなる、じんたんと同じく
つるこもめんまにもう一度会いたい理由があった。
「あの日 ―――」
「宿海君には内緒で集まろうって めんま言ってたでしょう?」
ゆきあつも疑問に思った「”あの日”じんたんが居た」事実。
つるこは何故あの場にじんたんが居たのか知っていた。
「あの日ね 宿海君を呼び出したのは」
「私なの ―――」
それはつるこがじんたんを呼んだから。
あの時、めんまはじんたんを抜いたみんなに相談があると集めた。
だが、時を同じくしてあなるはじんたんがめんまを好きなのか、とつるこに相談していた。
「そうだちゃんと聞いてみようよ!」
「私が呼んできてあげるから!」
じんたん抜きで集まる予定だった所にじんたんを呼んだのはつるこ。
そしてじんたんは「めんまが好きか」を言わされる。
だが、つるこはそれがこんな事になるなんて思わなかった。
「みんなの気持ちをはっきりさせて それでもずっと友達でいられるって」
「私にならそれができるって ―――」
「そう思ってたの」
「ほんと…ただの思い上がりで…」
「あなたのいなくなった超平和バスターズは簡単にバラバラになって…」
「私にそれを繋ぎ止める力なんてあるはずもなくて…」
「私はただその事実から逃げ続ける事しかできなくて…」
「ごめんなさい…めんま…」
つるこはずっと”あの時”の事を気にしていた。
以前、あなるに「めんまが死んだのはあなたのせいなんだ?」と言った事もあった。
つるこはそれをあなるのせいだなんて思っていない。
他のみんな同様”自分のせい”だと感じていたから。
つるこにはつるこのあの日の後悔をしていた。
自分の思い上がりが原因でめんまが死んでしまった…と。
めんまはつるこを恨んでなんかいなかった。
むしろその逆。感謝していた。
「みんなが ずっとなかよしでいられたのは つるこがいたからだよ」
めんまはつるこがみんなをまとめてくれたから楽しかった、と。
自分の思い上がりだと思っていたが、めんまに認められたつるこ。
彼女にはそれで十分だったのかもしれない。
「…もう 逃げないわ」
「今日これから私がする事…」
「許してね めんま…」
つるこにはまだ、やり残している事があった。
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「では!主役のめんまさん!前へどうぞ!!」と明るく振る舞うぽっぽ。
パチパチと拍手をするものの、葬式か?と思うくらい他のみんな暗い。
いや、実際葬式みたいなモンなんだろうか?もうよく分からない状況である。
「ハイ!」と元気よく立ち上がるめんま。
見えない聞こえないなので、さきほどのつること同じく、日記帳に文字を書いて挨拶。
【きょうは めんまのことで ありがとうございます。】
【めんまは あした おわかれ します。】
【さいごまで みんなと なかよく♡ したいです】
【よろしくおねがいします。】
な…泣くな…!まだ早いぞぽっぽ…!!
よく耐えた。(`・ω・´)
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「ほいめんま これ食うか?」と見えるハズのないめんまに普通に接するぽっぽ。
そんなぽっぽが渡そうとしたお菓子は辛そうなお菓子だったのでめんまもノートに
「真っ赤だよ~辛いのは痛いからやだッ!」とノートにカキカキして返事。
ああ、なんて楽しそうなのだろう。
ぽっぽとめんまだけ。
暗い。やはりお通夜というか葬式というか告別式というか…
いや、あながち間違いでもないんだけどさ。
「明日…」
「明日…花火が上がったら ―――」
じんたんの頭の中はソレでいっぱいだった。
”めんまのお願い”を叶えるため、それで成仏してもらうためと頑張ってきたが…その日が近づいてくると自分でも分からない感情が込み上げてくるのであった。
ゆきあつが言う。
「余興とかないのか…?」
「これじゃただの飲み食いだろ」
「決起集会なんだろ?」
「せっかくだからなんかやろうぜ」
「いいなぁ!なにする?」とウキウキなぽっぽ。
そう、明るさは彼だけが頼りなのだ、このお別れ会。
「―――――― そうね」
余興の案を出すのはつるこ。
彼女の余興の案は…
「”あの日” もう一度やるとか ――」
「え…?」
じんたんはつるこの言った事に理解が追い付かない。
つるこは、そんなじんたんのためにもう一度説明する。
「”あの日”」
「ここであったこと」
「再現してみるの」
「ここであったことって…」
「な…なんだよそれ…!!」
「そんなことしてなんにな ―――」
つるこの言う事を理解したじんたん。
それは、じんたんだけでなくここに居る全員がわざわざ思い出したく事のハズだった。
だが、この”再現”を言い出したつるこは反対するじんたんを無視し…
あの時最初に発言したあなるを指名する。
「じんたんってさ…めんまのこと…好き…なんでしょ…」
「なんなんだよ…おまえら…」
誰かがつるこの案を否定することもなく、むしろあなるは再現を始めた。
じんたんからしたらやはり理解できなかった。
そして、その場には”あの時”と同じくめんまが居る。
その場で”あの日”の再現。
じんたんには理解できなかった。
「言えよ めんまここにいるんだろ」
「はっきり言えよ…!」
ゆきあつも真面目な顔をしてじんたんに言う。
「超平和バスターズに隠し事はなしだぞ」と言ったあの時と発言は違えど内容は同じである。
「…いーえ」「いーえ…」
ぽっぽもあの頃と同じように囃し立てた。
そしてその声を上げるのはぽっぽだけではなくなる。
”あの日”と同じ状況が再びやってきた。
めんまは居ない、自分たちはもう小学生じゃない。
同じことが起こるなんてありえないハズの”あの日”
そして、じんたんは思い出す。
自分が「ブス」と言ってしまった後に笑っためんまを。
じんたんは耐え切れなかった。
この場から”あの日”と同じように逃げ出そうと走る。
そして、つるこはこうなる事が分かっていたのか。
それともこの場で思った本心なのか。
大声でじんたんに伝えた。
「逃げたら同じよ!!”じんたん”!!!」
逃げたら同じ。
じんたんは拳を強く握りしめ、言う。
「俺は…ッ めんまが…ッ!!」
「好きだ!!!」
”あの日”とは結末が違った。
あの日はそのまま逃げてしまい、同じ明日が来なかった。
だが、今は違う。
あの日に言えば良かった事を、言えた。
そして、それはちゃんとめんまにも届いた。
そんな”あの日”と違う結末を迎えた超平和バスターズの反応は…
「え…」だった。
嘘だろ!?じんたんかなり漢を見せてめんまに告ったのに!?
なんですかその反応!?誰もめんまに好きって言うの想像できなかった訳!??
全員がビックリしている理由はあなるによって明かされる。
「…じんたん」
「顔…」
まさか…
また鼻血か!?
前回の鼻血もめんまにキレて興奮した時に出たよね!?
ということは今回大興奮しているだろうから…両鼻から出血か!!?
涙でした。
「宿海が…」「…泣いてる…」と、驚くゆきあつとあなる。
そういえば「泣いてるとこなんて見たことないよね」と言っていたあなる。それは親の病気でも涙を見せることをしなかったじんたんの初めて見せた涙だったという事になり、鼻血よりだいぶ珍しいみたいだ。
「はは…止まんね…」
「おかしいな…」
「―――――ごめん…」
「ブスなんて言って…嘘ついて…」
「ごめん めんま…!!」
やっと謝れた。
じんたんは、めんまに謝れる明日を何年もずっと待っていた。
訪れる事のない「明日」
だが、それは急にやってきた。
それでも、まだ謝れてなかった。
そして、今、謝れた。
「本当は…!ずっと…謝りたかった…!謝らなきゃって…!」
「でも…いつもつるこに言われなきゃ…そんな簡単な事ができなくて…!」
「俺…自分が情けなくてしょうがねえよ…」
「リーダーなんて言って威張ってたけど…本当は一人じゃ何もできない奴なのにな…」
「でも…それすらも認めたくなくて…!」
「意地はって…謝る言葉ひとつ素直に言えなくて…!」
「めんまと…みんながいなきゃ…」
「一人じゃ…何もできないただのヒキコモリで…」
「みんな…みんながいなきゃ…!」
「謝れなかった」
その事への後悔をじんたんは仲間の前で素直に話した。
みんながいなきゃ何もできない自分。
それを認めたくない意地をはる自分。
だから謝れなかった。
そのせいで”あの日”から全てがおかしくなってしまった。
だが、今は違う。
素直になり、仲間の大切さを感じ、謝れた。
想いの全てを吐露したじんたんを見て
めんまは ―――
”お願い”が何かを思い出した。
☆「でも まだ止められる」
「―――ッたく 昔ケンカしても一度も泣かなかった奴がピーピー泣きやがって」
そう言い、ゆきあつはじんたんの肩を組む。
「まためんまをブスなんて言いやがったら今度こそぶん殴ってやろうと思ってたんだけどな」とそういえば彼は忘れてはならないめんまガチ勢。
めんまを悪く言うヤツはぶん殴るし、めんまになりたい時はめんまになるのだ。
<いくなぁぁぁぁあい
「…花火 成功させるぞ …じんたん」
ゆきあつが、じんたんを「宿海」でなく「じんたん」と呼び始めた。
じんたん自身もその事に気付いたみたいで驚いている。
「ごめんなさいじんたん」
「私たちがちゃんと前に進むにはこれしかないと思ったの」
と、つるこも自然に”じんたん”に変化している。
超平和バスターズはこの決起集会で”あの日”を乗り越えた事により完全に”あの頃”と同じように復活したのだ。
そんな事よりあの余興、つるこ発案で仕込みだったのか…(; ・`д・´)
「一人じゃ何もできないのはみんな同じよ」
「私たち6人で超平和バスターズなんだから…!!」
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・
めんまのお別れ会は終わった。
”あの日”の再現で彼らは過去を乗り越え、そしてまた強い絆で結ばれた。
「6人で…超平和バスターズ…」
心の弱さを見せたじんたんとしてはそう言ってもらえるのは助かるのだろが、その「6人」もこの日まで。
明日、花火が上がったら超平和バスターズは「6人」ではなくなる…。
「ねぇ!」
めんまはじんたんに話しかける。
「好きって本当?」
うん本当(*'ω'*)
と、いうのは私の感想なので無視無視。
じんたんの返事は…。
似たようなモンだった。
「めんまが普通にこうやっておっきくなったら―――」
う、羨ましい!離れなさい!
「めんま…じんたんのお嫁さんになったのかな…」
”もし 生きてたら”
これを思うとつらいのはめんまだけでなく、じんたんもだった。
そしてせっかく会えためんまは明日、いなくなってしまう。
だからこそ、じんたんは本心を伝えた。
「お願い…叶えなくても…」
「このままここにいればいいじゃねえか ――」
やはりあなるの思った通り、じんたんはホントの事を言ってなかった。
そして、自分の中で”言ってはいけない”と決めていた本心を伝えてしまった。
「ホントの気持ち…言ってくれたね…!」
めんまは、嬉しそうに笑った。
そして、言う。
「あのね!生まれ変わりだよ」
「めんまね!お願い叶えて生まれ変わるの!」
「だってこのままじゃめんま みんなとおしゃべりできないもん!」
「みんなにちゃんと見てもらうことできないもん!」
「一回みんなとお別れしなきゃいけないけど…めんまちゃんと生まれ変わって…!」
「きっと…!また…!みんなに…!!」
「会いにくるから…!!」
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・
明日、花火が上がれば全てが終わる。
ぽっぽは「絶対成功させる…!」と思い
つることあなるは「これでいいのか」と考える。
「めんまがそう望んでる ―」と思い、耐える。
ゆきあつは「お前じんたんに好きって言われて…なんて答えたんだよ…」と
ズラに顔ひっつけてスンスンしてた。
そう、忘れてはいけない。彼はめんまガチ勢。
ちょっとガチすぎてビビる所もあるが、まだ彼の中でめんまの存在は大きい。
つーかまだ捨ててなかったのか、女装セット。
あ、いま捨てた。
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花火打ち上げ 当日。
「塔子さんおはよう」
「最近の仁太君 前よりすっごく元気になったんだよ」
じんたんのパパは、仏壇にそう話かける。
確かに引きこもっていた頃と比べるとだいぶ元気になった。
じんたんは起きていた。
まだ寝ているめんまを見て、言う。
「俺だけじゃ…ダメなのかよ…めんま…」
昨日、本当の気持ちを伝えたものの、返事は求めていたものと違ったものだった。
それだけが、ちょっと複雑なじんたん。
寝ているめんまにそう言うと
部屋を出て行くじんたん。
そして、めんまの目が覚める。
手が透け始めていた。
「おばさん…もうちょっと待って…」
「みんなが花火してくれるから…」
めんまは、じんたんの母にそう語り掛ける。
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「じゃ!まず背負いものの取り付けからだな」
花火師のおじさんを筆頭に打ち上げ花火の準備が行われる。
準備の様子を見ていためんまは気付く。
「もうみんな…あの頃の名前に戻ってるね!」
「あぁ…そうだな…」
やっと。
やっとみんながあの頃と同じように呼び合い、楽しく集まれた。
6人でいるのはこれが最後だなんて ―
そう思うとつらいじんたんだった。
・・・!
作業中のじんたんの前に現れたのは…
サー君。
実は前に会った時、9日に花火を上げる事を伝えていたのだ。
それは、最後になると思われる日にめんまに会わせるため、じんたんが呼んだ。
嬉しさのあまり、サー君に抱き着くめんま。
その嬉しそうであり、寂しそうなめんまを見ると、じんたんは実感する。
「… そうか ――」
「本当に… 終わりなんだな…」
めんまと会える時間の”終わり”を感じ始める。
終わらせたくない。
そう思うじんたんは打ち上げの準備をしながら頭の中でずっと逆のことを考え始める。
「今ならまだ止められる…」
「止められる…」
「止められる…」
花火を中止すればまだめんまと一緒に居れるのではないか。
そんな考えが頭の中をグルグルと回り始める。
だが、めんまの言葉も一緒に思い出した。
生まれ変わりだよ ――――
「そろそろ始めんべ」
「あんまり遅くなると近所迷惑だかんな」
サー君を含めた6人、横に並びその後ろにめんま。
これから花火が打ちあがる。
これで全てが終わる。
「いいのか…今なら止められる…」
じんたんは、まだその考えが頭から離れなかった。
花火師のオジサンが導火線に近づく。
花火が打ち上れば、終わる。
”みんな”もそう思っている。
これでいいんだよね… …だって
めんまがそう望んでる ―――
でも まだ止められる
じんたんだけは、違う事を思っていた。
止められる
止められる
止められる
止められる
とめ ―――
ッ待 ――――――
長い間みんなが抱えていた”めんまへの想い”を本人へぶつけた。
そして、その想いを伝えたみんなは過去を乗り越えた。
めんまはふと現れ”あの頃”と同じように戻してくれた。
めんまの”お願い”は ――
打ち上げ花火ではなかった。
【▼続編】