第54回・ゲームの歴史を学ぶのであれば「ハイスコアガール」を。【1】

世間の学生は夏休みに突入している。
夏休みといえば、宿題である。
周りの奥様は「うちの子、全然宿題進まなくて~」なんて会話を耳にする。
ンなモン当たり前だろ。と、言いたい所だが、気付けば大人になっている私は「いやぁ大変っすねぇ~」などと弱気な相槌を打つので精いっぱいだ。
特に大変だったと記憶しているのが、読書感想文だと思う。
今でこそ、小説を読んだりするのであるが、小学生のころは国語の教科書とか文字が縦に並んでいるだけで吐き気がしたのに、それを読んで8月の内に感想文を書かなくてはならない等、白目向いて口から薄いゲロみたいなのコパコパと漏らしつつ下半身は無意識に尿をダバダバと垂らし失神、そして目が覚めたら熱も無いのに頭が割れているのではないかと錯覚するレベルの頭痛が襲い掛かってもおかしくないと思います。
いや、それはおかしいですね。
それはともかく、どれだけ難しいかと言うと良い大人になった今でも友達に映画化する前に借りた小説、永遠のゼロをまだ読んでいなくてこの前怒られた私も居ますよって事です。

そんな私が小学生や中学生の頃に取った「読書感想文」の攻略法が
・小学生時代・・・やってもないのに「忘れました」で卒業。
・中学生時代・・・映画化されている小説の映画版を見て書くも、感想文を提出した国語の先生に小説版と映画版の差異を見破られ、呆れられる。
という、結局クズまっしぐらな学生でした。
でも、そんな時、中学の国語の先生に言われたのが
「君は漫画とかで歴史ものに触れたら、頭に入るのかもね」
という、一言でした。
歴史モンの漫画?そんなモン読んだからってトヨトミ?のヒデヨシ?とか歴史上人物が頭に入るのかよ?だいたい、娯楽であるはずの漫画で何でそんな日本史とかの漫画読まなきゃなんねーんだっつーの猿ヤローバーカと先生に思った記憶があります。
が、結局先生の言った事は正しかったのでした。

中学生の時に、吉田君から借りて読んだこの「三国志」
全部は長く読めなかったが、「劉備」だの「関羽」だの難しい名前はスラスラと頭に入り、社会の授業で少し三国志について先生が話した時「あ…そこ知ってる!!」と内心めっちゃテンション上がったのを覚えています。

これは実在する人物「マリー・アントワネット」と架空の人物「オスカル」「アンドレ」等のキャラクターを織り交ぜ、史実を辿る漫画。
先に読んでいた事もあり、高校時代の世界史でマリーアントワネットの「パンがなければお菓子を食べれば良いじゃない」発言を授業で知り「うわぁフェルゼンもドン引きだわぁ」と思った記憶がある。
そして、課題であった世界史のレポートでは「【ベルサイユのばら】と比べた実物のマリーアントワネット」というものを提出し、世界史の先生に在学中一番褒められた、という思い出の漫画である。

元々北斗の拳が好きだった、というのもあったのですが、この漫画のおかげで日本の偉人を覚えられた、と言っても過言ではないくらい私の人生に影響を与えた本。
主人公である傾き者⁽かぶきもの⁾「前田慶次」を主軸にその当時あったと思われる「戦」や有名な戦国武将などと出会い、前田慶次の熱さと漢気で色々解決していくという漫画。
とにかくカッコイイ。男が惚れる漢。彼の発言の全てが印象に残り、8割がた「名言」と言っても過言ではない。
そして最終的には超泣ける。という凄すぎる歴史漫画。
が、これは本当に史実通りなのかは手前にもわかりませぬ。


えぇ?これは歴史漫画か?となる人も居るのではないだろうか?
よくよく思い返すと、大久保利通の暗殺を上手く漫画に絡めたり、池田屋事件が勃発してみたり、新選組との戦いがあったり、明治時代に突入した時の幕末の生き残りは?というテーマで描かれた漫画ではないか。
そして不思議、読み終わった頃には抜刀するときは左足から出してみたり、言ったそばからまた油断する人を見てバカは死ななきゃ治らないんだろうなぁとか思ってみたり。
・・・あれ?
で、そんな中、何年か前に驚いたのが「ゲーム」とその「当時の雰囲気」を漫画と言う媒体で表現、そして再現している漫画があった事だ。

これ、ハイスコアガール。
咲-saki-やけいおん!のようにとりあえず女子にやらせたら人気出るっしょ系漫画⁽なんだよそのジャンル⁾かと思いました、一巻の表紙をブックオフで見た時は。
だが…とんでもない!!全然そんな漫画じゃありません!!
これは立派な歴史漫画だと私は思う!!
1990年代前半、どれほどテレビゲームやゲームセンターがアツかったのか!!
2018年現在、気が付けばテレビに刺す線は赤白黄色のアレではなく、HDMIとかいう一本のケーブルで高画質に映り、コントローラーもゲーム機と繋ぐ線がなくなり、ドリキャスで3分10円で通信対戦⁽超絶ラグだらけ⁾というだけでも凄すぎたのに、当たり前の様にネット対戦。ゲームソフトからは説明書が消え、最終的にはそのソフトすらもお店で現物を購入かゲーム機でダウンロードするかという派閥まで生まれている。
ゲームセンターに関してもバーチャファイター4のカード使ったりしてる時点で今のゲーセンマジ凄ぇと思ったのがつい最近の事だと思っていたのだが…まさかあのアーケードの筐体でネット対戦が当たり前になる日が来るとは誰が想像できたことか…!!
乱入されたのに自分の向かいの筐体に座っているヤツが対戦相手じゃないなんて…!
・・・と、最新のゲームついて行けないだけの私の愚痴は置いといて。
そんな、いつまでもこうであれ、と願うゲームセンターやテレビゲームを愛する子供たちを描いている平成の歴史漫画「ハイスコアガール」を、今回はどんな漫画なのかチョビっとだけお伝えしたいと思います。

1-CREDIT:「しかも ザンギエフで」
時は1991年 ー

湾岸戦争 勃発


世界が揺れ動いた
1991年
そう・・・

彼には全く関係のない出来事であった。
彼はゲーセンにてスト2を遊ぶ小学6年生 矢口ハルオ
流石は歴史漫画、と思ったが矢口君には関係なかった。

既に7連敗もしている矢口君、熱くなりすぎて夜食用の500円も突っ込んでしまったようだ。
彼にはゲームの才能もあれば、多分パチスロとかで大負けする才能もあると思う。
そんな彼の相手、筐体の向こう側には勝ち続け27連勝目。普通に化け物だ。
今では少ないかもしれないが、確かに対戦台で負けた時ってのは帰り際に一体どんなオタクヤローがこの俺様を負かしやがったのかと確認した事もあったようななかったような…。
そして、想像とは相反し、チラ見するも金キラなネックレスをつけた怖いお兄さんで負けた上にビビって逃げたりしたような…。

女の子だった。

「…大野…大野昌…」
しかも彼の同級生。
彼と同じ6年2組の大野昌ちゃん。
彼女はお金持ちの家に生まれ、勉強もできちゃうお嬢様。
それに比べ、矢口ハルオは勉強もできない上取柄はスト2だけ。
しかも先程夜食用の500円も彼女の…

ザンギに敗北。
これがまた矢口くんのプライドを傷つけた。
女子に ザンギで 敗北。
うーん、これは悔しい。

「許すわけにはいかん!!」

「俺に残されたこの50円で
お前のハナッ柱をブチ折ってやるよ」

矢口くんの選んだファイターはガイル少佐。
←タメ→+P「ソニックブーム」離れた相手にけん制し
↓ タメ ↑+K「サマ―ソルトキック」で飛んだ相手を一網打尽だぜ!
だが彼のガイル少佐のファイトスタイル…それは・・・

クズだった。
矢口ハルオ、改めクズ。
普通に対人戦でこんなんされたら怒る。
相手がクラスメートのしかも女子に投げハメ。
対戦相手が悪そうな高校生とかだったらホント喧嘩になるレベルだ。
きっと心の広いハズであるお嬢様、大野さんは・・・





大野さん、キレすぎ。

改めて紹介しましょう。
投げハメされて負けたからと筐体を蹴っ飛ばし、相手が男子だろうと関係なくボコボコにしてしまう強いのはスト2だけとちゃうんかいと言いたくなる女子
大野 昌【おおの あきら】ちゃんだ。
学力秀才、親も大金持ち、そして美少女ともあり、クラスでは人気者だ。

そして、そんな大野さんにガイルの投げハメで勝利するもリアルファイトでボコられるクズ。
学力もねぇ絵心もねぇ⁽らしい⁾矢口ハルオくんだ。
そんなクラスの高嶺の花とクズの共通点は1つ。


放課後にゲーム。
高嶺の花、大野さんには弱点があった。

弱点1:喋らない。
私がケンシロウだったら、「おまじないだ」と言って喋れるようになれる秘孔を突いてあげたいくらいだ。

弱点2:ホラー系がとにかく苦手。
放課後に一緒のゲーセンに居たクズ矢口と大野さん。
彼のプレーしていたスプラッターハウスの画像を見て帰り道、一人で帰れなくなってしまうビビリっぷりだ。
そしてそれを矢口くんに全く伝えられない喋れないっぷりだった。

2-CREDIT:「こんな苦しいファイナルファイト」

今はもうあるのかも解らない駄菓子屋さん。
そしてその駄菓子屋の外、もしく中にもあったのですよ、ゲーム筐体が。
しかも50円で、とか100円で2クレジットとか、何だか安いのが特徴。
矢口くんが大雨の中駄菓子屋でゲームをしつつ雨宿りをしようとすると…

大野さん登場。

「ここに筐体がある事を思い出した上で来たな?ホントお前も好きだよなぁ」

んふー
大野さん、中々喋らない。

大野さんの選んだゲームは、ファイナルファイト。

大野さんの操るハガー、これじゃメトロシティを守れないですよくらいの勢いでボコボコにされる。
ゲーマーとしてそんなハガーを見てられない矢口くん
〈チャリン

あのスト2でガイルの投げハメで勝ったクズ矢口とだからってそんなにキレなくても良いじゃないですかな大野さんとのファイナルファイト協力プレーである。
そう、ゲームというのはいつの時代でもそう、なんともない人とも仲良くなれちゃう不思議な力をもっているのですよね。

めっちゃ嫌がってる。
横スクロールアクションの協力プレー。
これがまた奥が深いのです。
一緒にやれば盛り上がる事間違いなしというのもあるが、ハイスコアを狙っていたり自分のプレーを邪魔されたりするとやたら腹が立つ、というのもある。
もちろん大野さんは後者だ。
最初にやられていたハガーは、残機を残り1までに減らし絶対にミスしてはならないという自分へのプレッシャーをかけていたようだった。
なんつー女だ…大野さん…。



矢口くん、大野さんの足を引っ張りボコられる。

でもクリアしてしまうという凄さ。
こんな協力プレーを境に、二人には何だか変化が。
「PCエンジンも知らねえ腕だけのモグリかよ」

クズのその一言でイラっとした大野さん。
プール掃除中、水をぶっかけられる矢口くん。

無事、風邪をひく。
風邪の症状は重く、大好きなPCエンジンもできないレベルだ。

「おふくろ~苦しいよ~水おくれ~氷まくらの氷取り替えておくれ~~~あとヨシヨシしてくれよぉ~~~~~~」
よ…ヨシヨシ…⁽笑⁾

そこに現れたのはヨシヨシしてくれるおふくろではなく、休んだ矢口くんのためにプリントを持ってきた大野さんだった。
「ヨシヨシしてくれよぉ~~」を聞かれた訳ですが、私ならその場で自殺するレベルですね。恥ずかしくて。

プリントを渡したものの、中々帰る気配を見せない大野さん。
そう、それは何故なら…

矢口くんの部屋にあったPCエンジンに興味津々だったのだ。

大野さん、ルンルンでPCエンジンをプレイ。
実は大野さんの家には家庭用ゲーム機はないらしい。
そんなことで初の家庭用ゲーム機でとにかくウキウキだった。
そんな大野さんを見て、矢口君は気付く。

「確かに家では教養を与えられたお嬢様だ…
ゲームねんて買ってもらえるワケがねぇ…」
「だから外でああして一人遊びに興じていたってワケか」

「こいつもこいつで俺と同じく…日々溜まった鬱憤をゲームで発散してたのかな」
矢口くん…少し大野さんを理解し始める。

家にゲーム機がない大野さんに、とにかくPCエンジンの魅力を伝える矢口くん。
日々お嬢様としてのプレッシャーと闘う大野さんできる気使いは、二人とも心を奪われたゲームの話をする事くらいだった。

3-CREDIT:「またしんどくなったら逃げて来いよ」

大野さんの家には家庭教師の萌美先生がいた。
それはそれはとにかく厳しい先生。
ゲーセンに通う大野さんを全く良く思っていなく、理解ももちろんない。
「夏休みの間ありとあらゆる教養――みっちりじっくりどっさり深めさせていただきますよ」
「小学生らしい夏休みを送れると思ったら大間違いザマスよ!!」との事。

終業式の帰り道、明日から夏休みだというのに思い出しただけでんふーである。
あんまりおうちに帰りたくない大野さん。
そんなころ、矢口くんは…

「じゅ・・・10円ゲーセンだって・・・!?
ウ ウソだろ・・・!?」
と、大野さんとは全く違う実に楽しそうな帰り道であった。

「ここらの都市伝説だけどね」
「多摩川の上流に向かって3駅ほどの銭湯近く…って聞いたけど」
と、都市伝説10円ゲーセンについて教えてくれる

童貞のお兄さん。
しかも「そのゲーセンはスト2対戦のメッカらしいんだ、とてつもない強豪であふれている。」と矢口くんの喜ぶような情報つき。
そんな素敵な未知なるゲームセンターに向かう気満々の矢口くん。
そして、大野さんと同じく、彼にもおうちに帰りたくない理由があった。

あの「ヨシヨシしてくれよぉ~~」と願った母親に「1」だらけの通知表を見せたくなかったというクズの上バカという矢口くん。
目指すは都市伝説の10円ゲームセンター。
と、自転車に乗る矢口君。

の自転車の後ろに突如現れた大野さん。

「まさかお前も都市伝説の真相を知りたいって腹か」
コク。
都市伝説の真相もそうだが、おうちに帰りたくないってのも大きそうだ。




矢口君の自転車の後ろに乗る大野さん。
んふーとなってしまう現実から離れて行く大野さん。
投げハメが原因でクズと殴り合った大野さん。
その彼女が、矢口君の自転車の後ろに乗っている。
確実に、この二人は何かが変わり始めているのだ。
そんな二人の都市伝説10円ゲーセンを探す旅が始まった。


と思ったら、さっさと見つかる10円ゲーセン。
「ゲームセンター がしゃどくろ」

拍子抜けするくらいあっさり見つかったゲーセン、がしゃどくろ。
階段を降りて地下にあるらしく、何だか不気味。
ギュウ

大野さん、少し怖いみたいで矢口君を何故だかツネる。
「え 怖い!?」「だからってツネる事ないっしょ」
そう、これに関しては矢口君がいくらクズだからと言っても、矢口君に同意。
ていうか全く喋らない大野さんの感情を理解してる。凄い。
地下にある「がしゃどくろ」に向かう二人。
スト2対戦のメッカである「がしゃどくろ」

スト2対戦どころか、人すら居ない「がしゃどくろ」
いやでもスト2対戦のメッ…

初代ストリートファイター、しかもアップライト筐体版発見。
スト2はないものの、「がしゃどくろ」には様々な1991年当時でもレトロゲーとされる台がたくさん置いてあった。

私は見た事ありません。

ファミコンでありましたよね。

・プーヤン
豚が矢であれこれするゲームでしたよね。

・エレベーター・アクション
私は未プレイ。

シェンムーに収録されてたやつ狂ったかのようにやりました。懐かしい。

クレーンゲームも古いものが設置されていた。

「景品が安っぽい時計やら指輪やら・・・」
ああ、懐かしや。
カラオケ屋とかボウリング場にあるのもそんな感じですよね。
え?もうそんなボウリング場がないって?
そしてレトロ10円ゲーセンがしゃどくろ、極め付きが

不気味な経営者。
たしかにこの人ならゲームセンターの名前を「がしゃどくろ」とか付けそうだ。

大野さん、ギブ。
博物館並みのラインナップしかゲームはないわ、「イヒヒヒヒヒ」とかニヤニヤ笑う経営者がいるわで大野さん以外にも耐えきれない人が続出しそうなゲーセン、がしゃどくろを後にすることに。


矢口くん、自転車のカギをがしゃどくろで落としたらしい。
面倒だが、がしゃどくろに戻ってカギを探さなくては。


「がしゃどくろ」なんてゲームセンターは、なかった。

意味が解らない。さっきまで遊んでいた「がしゃどくろ」が消えた。
矢口くんの後ろに通りすがりの元気ないハゲたバカボンのパパみたいなおじさん。
「そこはもうとうに無くなってるよ」
「経営に失敗した店主が・・・この店で世逃げをしてしもうたんじゃ」
ようはまあ・・・そういう事なんだろう。


ギブだった大野さん、多分霊感もあったのだろう。
そして矢口くんをボコる。

自転車の鍵はがしゃどくろと一緒に消えてしまったため、歩いて帰る二人。
気が付けば夕方であった。
矢口君は大野さんに尋ねた。

だが、大野さんは帰らなきゃならないと解っているのだが、帰りたくない様子。
矢口君は思った。

「ああそうか…こいつ…俺と同じで目の前の現実から逃げてたのか…」
「家に帰ってもかたっくるしい教育が待っているからか…」

家に帰っても勉強ばかりでゲームもできない大野さんを可哀想に思った。
「お前さ…普通に夏休みとか楽しめるの?」

「・・・・・・・・」
大野さんは矢口くんの質問に黙った。だが、矢口くんには何か伝わったのだろう。



4-CREDIT:「もらってくれるか?」

夏休みも終わりが近い。
矢口君と大野さんは同級生の誘いで遊園地に居た。

矢口くんは女子から「チンチンに骨があるのか確かめさせて頂戴…」と言われ恐怖し、グループから逃げる。
うん、そりゃあ逃げる。

で、結局向かった先は遊園地のゲームコーナー。

大野さんも遊園地は不慣れなためか、ゲームコーナーへ。

友達と来ていたハズの遊園地なのだが・・・、大野さんと矢口君はいつもと場所が変わっただけ。二人はゲームで遊ぶことに。



大野さん、矢口くん、アーケードゲームを遊びまくる。
その結果・・・

友達は先に帰ってしまった。
そらそうだ。だが二人は…


アトラクションにてまだまだ遊びまくる。

「大野…はしゃいでいるな…」
「表にはあまり出さねーけどなんとなく伝わってくるぜ」
矢口くん、もう無口な大野さんとの意思疎通はバッチリだ。
そして、次に大野さんが乗りたがったものは…


観覧車だった。


「あれ…なんで俺今…」

「緊張したの…?」
矢口くんと大野さんの関係…

少しずつ、確実に変わってきていた。

乗れなかった。残念。

観覧車に乗れなかった二人は、バスで帰宅。

大野さん、疲れて眠る。
そして、何だかビックリしちゃう矢口くん。
「最近 元気なかったからな」
「こいつも色々耐えてるものがあったんだろうなぁ」
喋らない大野さんの気持ちがなんとなく解る矢口くん。
きっとその奥にある彼女の逃げたい現実なんかも感じ取ったのだろう。

そして、自転車に乗りゲームセンターへ行ったり、遊園地で遊んだり…
そんな矢口くんと大野さんの夏休みは終わる。

二学期が始まった初日、彼が耳にした言葉は…
「大野昌は転校してしまう」という事だった。
「何で俺…






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転校する大野さんのお別れ会が教室で行われた。
転校先はまさかのロス。
しかも今日の夕方にロスに向け日本をたちますとな。
クラスの友達がみんなで大野さんにお別れのプレゼントを渡そう、という事になっていたようだ。

先生が「大野への贈り物は渡したかー?」と確認。
「まだ矢口くんが渡してませーん」と女子。
矢口くんは大野さんに何を渡すのだろうか?

久々に登場、クズ矢口ハルオ。

うわぁ。
い、居たよ…小学校の時こういう奴…。
なんてリアルな漫画なんだよ、ハイスコアガール…。

こんな感じの女子もいたいた。

そしてクラスのみんなに見送られ…

大野さんはロスへ旅立つことに。
そして放課後…


や…矢口…ッ!てンめー…!
ただ、何をあげたら良いのか見当がつかず、何も用意できなかったみたいだ。
まあ、小学6年生って、そんな感じだよね。
ただ、ゲームを通じ色々あったあの大野さんが転校する事は相当ショックだったみたいだが、ショック受けたのは隠したいし、現にどうする事もできない彼は大野さんに冷たく当たってしまったようだ。小6ってそんな感じだよね。

だからって、大野さんのプレゼント用のお金でゲームはどうかと思うぞ。

ゲームをしながら、一人で考え込む矢口くん。
「俺は一人でこうして遊ぶのが好きなんだ」
大野さんともう会えない事、そして最後に大野さんに冷たく当たってしまった事をどうにか自分の中で正当化しようとする矢口くん。
小6っつーか、男ってそんな生き物だよね。あーやだやだ。

【初めて同志ができたと 胸も躍った】
やはりどう考えても、大野さんを嫌いになる事も忘れる事もできない矢口くん。
でも彼女は今日の夕方にロスへ行く。それは変わらない事実なのだ。

誰かが矢口くんを呼んだ。
「お前の気持ちはそれだけか!?」

ガイル少佐。

「己に正直になれハルオ あの子との戦いはまだ終わっていない」

「お前の戦いが 俺の新たなる力となるだろう」
己に正直になれ。そう言い彼に

ソニックブームで喝ッ
聞こえてくる声はガイルのものだけではなかった。

「これ以上見栄を張るようなら 後悔する事になるぜ」とダムド。

アーサーも。それだけじゃない。








その頃、大野さんは

空港にて家庭教師の萌美先生や、自分の世話をしてくれたじいやと飛行機がくるまで、別れを惜しんでいる最中であった。




矢口くん、間に合った。
ゲームセンターで、背中を押された矢口くん、どうにか大野さんが日本を後にする前にもう一度会う事ができた。

「あ…あのな…大野…」

他にもあるだろぉ、話題がぁ。
でも最後の別れに何言って良いか解らなくてこんな話振っちゃう事ってありますよね。
私も前に別れた彼女との最後の話題は「レッドホットチキンで一番美味しい部位は手羽の部分だと思うんだが」でしたしね。⁽なんのこっちゃ⁾

でも、矢口くんと大野さんの繋がりはゲーム。
最後もこんな話題で良いのかもしれない。

「俺も張り合いが持てるやつがいなくなるのかと思うとさみしくてしょーがねぇ」
さみしくてしょーがねぇ、と言っていますが…これがガイル少佐の言っていた「己に正直になれ」なのだろうか。まあ、これはゲーマーとしては本音なんだろう。


「お前へ何か贈り物をっておふくろから千円もらったんだ」
「でもココへ来る際電車賃で使っちまった・・・」


「帰りの電車賃も考えると…結局お前には何も買えねぇ…」
「ワリーな」
確かに正直になってるが、ガイル少佐の言った事はこういう事なんだろうか。
いや、違うハズ。まだだ、男を見せろ、矢口ハルオ…ッ!

ハルオ…ッ!?

「これな…お前と一緒に行ったゲーセン「がしゃどくろ」のクレーンゲームで取ったんだ…」




「これ…この世のモノじゃないかもしれないし色々な意味で気色悪いかもしれねーけど」




「今 お前にあげられるもんはコレしかねぇ…」
「もらってくれるか?」
大野さんのいない「いつもの」ゲームセンター。
そこでハルオに声をかけ、背中を押してくれたのは、ゲームの住人達だった。

とにかく空港まで大野さんに会いに来た矢口ハルオ。
彼が大野さんに渡せるもの、それは二人で自転車に乗り向かったゲームセンター。
あの「がしゃどくろ」で取ったクレーンゲームの景品、「安っぽい指輪」だった。

最後に大野さんに会いたい一心で空港まで来た矢口ハルオ。
そんな彼に今、大野さんに渡せる物はその「指輪」しかなかった。
だが、その指輪はただの「安物」である事に変わりはないのだが
それを震えながら渡す彼から感じられるものは「指輪に詰まったハルオの心」だった。

「もらってくれるか?」
大野昌・・・矢口ハルオのその言葉に・・・。



大野昌は泣いた。そして叫んだ。
己に正直になった矢口ハルオ。その指輪の答えは大野さんの涙だった。

指輪を渡す矢口くん、そして大野さんは

何故か矢口くんに攻撃。

最初は矢口くんなんか嫌いだった大野さん。
きっと、ゲームを通じ仲良くしてくれた彼、不器用ではあったが自分を思いやってくれたその姿に彼女の中で矢口君は友達以上の存在になっていたのではないか、と思う。

何故だか思いっきり顔を攻撃された矢口くん。
「ははっ」
彼は大野さんの泣いている顔を見て、何が言いたいのか、何を思っているのか、理解できたのではないかと思う。だから彼は傷だらけの顔で笑っていられるのだ。

大野さんは、日本を発った。

「投げハメに頼らないくらいガイルを強化しねーとな」
うん、投げハメはよくないと思う。
「次会った時、互角に戦えるよう…」
矢口くんは、大野さんが帰って来るのを待っている。
また、ゲームを通して、彼女と仲良くできる日を。

大野さんも、きっとそうだ。
矢口くんを忘れない。
空港で貰った指輪もずっと ー

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このブログ書いてる途中、思ったんです。
私は何故、このテレビゲームを通した少年少女の素敵な恋物語を立派な歴史漫画だと思ったんでしょうか。

▼【続編もよければドーゾ】